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砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠してあるからだよ | さかさまな季節からのつぶやき

カリスマ英語講師


わたしの古い友人の一人に、
大学の英語の入試問題を、
パートタイムでたまに作っている人がいます。
日本に住んで30年のイギリス人。
日本語もペラペラ、読み書きも出来る。
イギリスのオックスフォード地方出身で、
大学を卒業して、すぐに日本へ来たんだそうです。
高校の英語教師からジャーナリスト、大学院生、そして今の本業は英語教育には全く関係ない分野の大学の先生だけど、
日本の英語教育を隅々まで見てきたんだそう。

若い頃は、英語に関するバイト経験も豊富で、
あの有名な都心に本部を構える棒予備校で、英語の試験問題の製作や、
参考書の監修も携わっていたんだって。


その予備校バイト時代に、
一人、カリスマ英語講師がいたんだそう。
その講師は、予備校生からの絶大な人気はモチロン、
予備校内関係者からも信頼を寄せていて、
まるで神のような存在。
人気の授業の秘密は、
文法を徹底に解析して、
超ロジカルにまとめ上げ、
予備校生の頭に叩き込むらしいです。

カリスマ予備校教師は、
ロックスター並みの人気者なので、
都内の大きなホールを貸し切り、
ワンマンショーのような公開授業も行われていたんだとか。
全国から予備校生達が、
それはそれは沢山集まったそうです。

ある時友人は、
同僚の英語ネイティブの友人と、
一緒に仕事をしていると、
うわさのカリスマ先生と話すチャンスが訪れました。
同僚も友人も日本語が理解できたので、
さて、どちらの言語で会話をしょうか?
一瞬、二人が躊躇しているところで、
カリスマ英語教師が話しかけてきたのは英語…が、しかし、
二人はカリスマ英語教師の話す英語が、
聞き取れず、
理解する事が出来ず、
タジタジだったそうです。
会話の最後の方は、日本語と英語のちゃんぽんというありさま。

それから、
友人は、何人ものカリスマと名がつく英語講師の英語を耳にしたらしいですが、
ほぼ残念な英語だったと言います。
そして、日本語の英語教育の問題点について考えるようになったんだとか。

そんな予備校のバイトから、
何十年も経ったある日のこと。
都内のパブでたまたま知り合ったビジネスマンの青年。
この青年が受験生の頃に通っていたのが、友人がかつてバイトをしていたのと同じ予備校。そして友人が務めていた時期と重なっている事がわかった。
青年は興奮して、真っ先に当時のカリスマ英語講師を知っているかと、訪ねてきたそうです。
「……知っている」と友人が答えると、
青年はたいそう感激し、
「僕が東大や伊藤忠商事に受かったのは、すべてあの時教えてくれたカリスマ英語講師の授業のおかげなんです」と言ったんだそうです。
一瞬、友人はその言葉にたいして、なんて言っていいか戸惑ったそうですが、その青年は続けて、
「あの勉強は、試験前の時間が長すぎても落ち、そして受験後は綺麗さっぱり忘れてしまう」と言ったそうです。
つまりは、受験に勝つための英語は、
喋れるとか、読み書きができるなんてどうでもいいのです。
受験さえパスすればね。
と、友人が話してくれました。

それから又年月が経ち、
友人と知り合った頃も白髪の初老だったカリスマ講師がお亡くなったという知らせが飛び込んできたそうです。
お葬式には、かつての教え子がたくさん弔問に来たのかと思いきや、
ロックスターの人気は、影をひそめ、たったの30人足らずだったんだとか。
まあ、その真意は断定出来ないけれど、
何か胸につっかえるものがありますよね。

実際海外へ飛び込んで、
仕事や勉強でもそうだけれど、
自分の話す英語が、ネイティブに全く伝わらないことって、バイリンガルじゃない限り、ほとんどの日本人が思い知らされますよね。
そんなとき、以前のカリスマの教え子だった予備校生たちは、彼らの記憶に、一体どんな風にこのカリスマ先生を、思い返したんでしょうね。いやはや、思い出しもしないのかもしれない?

さて、
そんなわたしも、
学校の英語の試験が近づいています。
友人のこの話で、すっかりモチベーションがガタ落ちだけど、がんばりたい!🐶ワン!

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Posted by Naomin on  | 0 comments  0 trackback